熊本県阿蘇市にブランド牛乳「ASOMILK」を生産する阿部牧場があります。熊本震災では大きな被害を受けたそうですが、同社の阿部寛樹社長が少し前にラジオ番組出演されていたのを偶然、車の中で聴く機会がありました。
阿部牧場では工場の稼働や機器の洗浄などに1日最大40トンの水を必要としており、地震により地下水が出ず、水を確保することが困難になったそうです。近くの川の水を引っ張ってきたものの、牛は水の味がわかるのか飲もうとしなかったとか。 水がなくとも搾乳は続けなければ牛は乳腺炎などの病気になるらしく、しかし搾った乳は製乳できず、すべて廃棄処分にしたという。廃棄処理は従業員が帰った後の誰もいない時間に阿部社長自ら行ったそうです。その時の心情はいかばかりだったでしょうか。
その後、様々な困難の末に近くの湧水地から水を確保することができ、徐々に震災前の状況に近づけていくことができたとのこと。復興中も自社の再建をだけ優先することなく、同じ境遇にある阿蘇地域の生産者をまとめ、阿蘇地域全体の復興のための通販「阿蘇復興支援セット」などの取りまとめに奔走されておられました。
阿部社長の座右の銘は「自惚れる」という言葉だそうです。本来の言葉の意味からは少し誤解して解釈されそうだが、本当の意味は「自らが自分が関わっているモノに惚れる、仕事に惚れる、地域に惚れる。自らの仕事に誇りと自信をもって自惚れながら進んでいきたいと」というそんな思いだそうです。私たちも自社の製品やサービスにとことん惚れ込んでいくことが大事かと。
「何年もの積み重ねが今の牛乳である」と答える阿部社長。雄大な阿蘇の自然で生まれた阿部牧場のASOMILKをこれからも応援していきたいと思います。
阿部牧場 http://www.aso.ne.jp/abe-farm/